オメガ3とは│体に良いって聞くけど本当?ダイエットにも効果あり?

近年、糖質制限ブームの影響も重なり、体に良い脂質への注目が高まっています。その代表格がオメガ3です。

テレビなどで話題のえごま油や、通販で「青魚のチカラァ!!!」とか言って売られてるサプリに入っている栄養素です。ダイエットにも効果があると言われていますね。

今回はこのオメガ3について、どんな働きがあるのかを解説していきます。専門用語も出てきますが興味のない人は覚える必要はないです。

オメガ3ってなんで体に良いって言われるの?

って疑問が解決すればおっけーです。

オメガ3とは

覚えなくていいって言ったそばから、専門用語満載の図を貼り付けてすみません。

この図で言いたいのは「オメガ3ってヤツは脂肪酸の1種なんだよー」ってことです。

いや…脂肪酸ってなによ…

ってなったと思いますので説明させて頂きます。

皆さんが口にしている脂肪は、グリセリンという物質にとある物質Xがくっついてできています。食べ物によって含まれている物質Xの種類は違っていて、それぞれ体のなかでの役割も違います。このとある物質Xが「脂肪酸」です。

魚の脂肪も肉の脂肪もオリーブオイルなどの油も、脂肪には違いないですが「構成している脂肪酸が違う」という訳です。

オメガ3はこの脂肪酸のカテゴリーの1つで、次の3つの脂肪酸がこれにあたります。

  • ALA(アルファリノレン酸)
  • EPA(エイコサペンタエン酸)
  • DHA(ドコサヘキサエン酸)

どれも体に良い働きがあることで有名ですが、ALAとEPA・DHAでは含まれる食べ物や役割が異なるので、サプリメントなどを買う時は、どのオメガ3が含まれているのかまでチェックしましょう。

オメガ3のはたらき

オメガ3にはたくさんの効果が報告されているのですが、その中でも代表的なものを4つ紹介します。

ただし、オメガ3の研究は栄養素としては比較的新しい部類に入ります。なので以下の説明は「現時点での研究結果」という認識のもと読んでいってください。

1.血中の中性脂肪とコレステロールの値を下げる

オメガ3のダイエット効果として最も期待の持てる効果がこれです。

オメガ3の研究はダイエットを目的としたものが少ないのですが、血中の中性脂肪とコレステロールを下げる効果があることは分かっています。

体脂肪とは中性脂肪が全身の脂肪細胞に蓄えられたものなので、血中の中性脂肪が下がれば体脂肪も蓄えられにくくなるという訳です。

原理としては

  • 「オメガ3が脂肪の合成・分解に関わる酵素に影響する(参考1)
  • 「オメガ3が脂肪分解の役割を持つ褐色脂肪細胞を増加させる(参考2)

などが考えられていて、次に説明する血流に関する効果が影響しているとも言われます。

2.血管をやわらかくし、血液をサラサラにする

「オメガ3は代謝を上げる」と言われる理由がこれです。

「血管がやわらかくなり、血液がサラサラになる=血流が良くなる=代謝アップ!」という理屈です。代謝を上げる他にも

  • 「老廃物や毒素が体に溜まりにくくする」
  • 「栄養素が運ばれるのを助ける」
  • 体温が上がる」

などの効果も結び付けられます。

すごいダイエット効果だ!

と思われるでしょうが、1つ注意があります。それは、この効果を証明する多くの研究が「心筋梗塞などの血管による病気」を対象としている事です。(参考3)

つまり、現時点でこの効果がもつ意味は「血管がやわらかくなり、血液がサラサラになる=血管が詰まりにくくなる」という部分が大きいということです。

「ダイエット効果は無い!」と言うわけではなく、ダイエット効果も期待できるが現時点では研究が不十分だと言えます。

「オメガ3で代謝アップ!」などの文言を、ちゃんとした研究結果もなく言い切っているサイトや雑誌は怪しいと思ってください。

3.炎症を抑える

脂肪酸の中で、オメガ3と深い関係をもっている脂質がオメガ6です。オメガ3と6はある作用に対して正反対の働きをします。その作用が「炎症」です。

炎症とは、ウィルスなどの異物やダメージを負った細胞などを排除しようとする体の防衛反応で、オメガ6には「炎症」を誘発する働きがあります。体を守ってくれているという訳です。

しかし、体というのは過剰に反応してしまうことがよくあります。そこで登場するのがオメガ3です。オメガ3には炎症を抑える働きがあるので、オメガ6による過剰な炎症を鎮めてくれます。

この効果からオメガ3はアレルギー反応に有効と言われていて、皮膚アレルギーの抑制を示す研究結果も発表されています。(参考4)

ですが最近になって、オメガ3はアレルギー反応を促してしまうという真逆の研究が東京大学から発表されました。(参考5)

アレルギーに良いの?悪いの?どっちなの!?

という心境になったと思いますが、健康に関する研究では専門家同士の意見が分かれる事はよくあります。それぞれのアプローチが違うからです。

筆者の考えとしては「アトピー性皮膚炎などの皮膚に関するアレルギーに対しては、炎症を抑えるという意味で効果が期待できるが、花粉症などを含めた全てのアレルギーに対しての効果は分からない」というのが現状の結論です。

このように栄養素に対する体の反応は非常に複雑です。1つの情報に固執せず、自身の体の反応なども見ながら摂るべき栄養素を考えるようにして下さい。

4.脳機能の維持・発達を助ける

「DHAは頭に良い!」という話を聞いたことはないですか?この効果のもとになっているのは「ヒトの脳組織にはDHAが豊富に存在する」という研究結果です。

確かにこの研究結果を聞くと「DHAは頭に良い!」と思えるのですが、残念ながら現時点でその効果が期待されているのは発育段階の子供だけです。

大人への効果としてはアルツハイマー病などの予防が期待されていますが、まだまだ研究段階というのが現実です。

効果が無いと実証された訳ではないので、今後の研究に期待ですね。

本記事のまとめ

  1. オメガ3は脂肪酸のカテゴリーの1つ
  2. オメガ3にはALA・EPA・DHAの3つの種類がある
  3. オメガ3は血中の中性脂肪とコレステロールの値を下げる
  4. オメガ3は血管をやわらかくし、血液をサラサラにする
  5. オメガ3は炎症を抑えるが、全てのアレルギーに対しての効果は不明
  6. オメガ3は脳機能の発達を助けるが、大人には効果不明

最後に

オメガ3がなぜ体に良いと言われるのか理解して頂けましたか?

注目の栄養素なだけに、ホントかどうか怪しい効果まで言われることの多いオメガ3。商品を売りつけるためだけのセールスワードに騙されそうになった時は本記事を思いだし、冷静に判断していただけたらと思います。

一日の摂取量やおすすめの食べ物、サプリメントなどもアップしていくので、ぜひご覧下さい。