行動経済学は経済学とは違うの? 『忙しい人のための行動経済学』

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行動経済学とは

新古典派経済学では人は常に合理的という前提で発展してきましたが、
現実は理論通りにならないことがよくありました。

行動経済学は経済学という名前がついていますが、心理学・認知科学としての要素が強く、
人は合理的ではないという観点から、新古典派経済学の問題点を指摘しています。
近年では新たなモデルづくりにも期待されています。

行動経済学は実際の人の行動に着目し、実験と観察を重視していることから、
面白い実験の話や人間らしい失敗談、お金儲けのノウハウを知ることができます。

数学的な話は少ないので、数学や経済学が苦手な人も楽しめます。
分かりやすく面白いというのも行動経済学の魅力です。

ヒューリスティックスとバイアス

合理的でない思考とはどのようなものでしょうか。

人は多くの場合、”直感的思考”(ヒューリスティックス)に頼っています。

ヒューリスティックスは、『明確な手掛かりがないときに用いられる発見的手法』とも呼ばれ、
問題を解決するときに問題を単純化したり、これまでの経験に当てはめるといった思考の近道です。

ヒューリスティックスは認知的な負荷を軽くし、判断を高速にしてくれますが、
誤り(エラー)を起こすこともあります。

系統的に繰り返し起こるエラーをバイアスといいます。

これまでに多くのヒューリスティックスとバイアスが見つかっています。
いくつか具体例を見てみましょう。

代表性ヒューリスティック

代表性ヒューリスティックとは、固定観念や典型的なイメージによる直感的思考です。

リンダ問題

リンダは31歳独身です。非常に知的で、ハッキリものを言います。
大学時代には哲学を専攻しつつ、社会主義と差別問題にかかわる活動に深く関わり、
核兵器反対のデモに参加したことがあります。

さて、リンダは次のどちらに当てはまる可能性が高いでしょうか。

  1. リンダは銀行員である。
  2. リンダは銀行員で、女権問題の活動家である。

2.と回答する人が80%にも達しますが、1.が正解です。
リンダがどちらの場合であっても1.には含まれるからです。

”社会主義と差別問題にかかわる活動に深く関わり、核兵器反対のデモに参加”
という文から、女権問題にも関心があるのではないかとイメージしてしまいます。

なお、ひっかけ要素を無くすために

  1. リンダは銀行員であり、女権問題の活動家かは問わない。
  2. リンダは銀行員で、女権問題の活動家である。

としても60%が2.を選択してしまいます。

利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティックは、思い浮かべやすいものを過大に評価する直感的思考です。

他殺者と自殺者の数ではどちらが多いでしょうか。という質問をすると他殺者が多いと思われがちです。
実際には自殺者のほうがずっと多いのですが、メディアでは珍しい事件が多く報道されます。
このため、思い出しやすい状態になっている側を多く見積もってしまいます。

同様に、地震の後には地震保険に入る人が増え、飛行機事故の後は飛行機を避ける人が増えます。
もちろん備えは大切ですが、有事の後しばらくしてメディアでの露出が減るとまた元の状態に戻っていきます。

関連するバイアスに『利用可能性カスケード』があります。これは自己増殖的な連鎖で、
多くの場合、希少な話題をメディアが取り上げ、人々がパニックになり、更にそれがニュースの材料となる。
といった具合に、不安を大きくしていきます。

特に危険性はどんどん誇張されていきます。
専門家の「危険性が過大視されすぎている」といった意見は『悪質な危険隠し』とみなされてしまいます。

アメリカではしばしば化学物質などをめぐって、このような問題に発展することがあります。

政策に反映され、多くの公的資金が投入される事態になりますが、
その資金を他の用途に使った方が、より多くの人を救えたのではないかという指摘もあります。

アンカーと そのほかのヒューリスティック

有名なヒューリスティックに、アンカーがあります。
以前アンカリングの記事でもご紹介しましたが、初めに決められた基準は強い判断基準となります。

他にも
希少ヒューリスティック……手に入れにくいもののほうが価値が高いと考える。
感情ヒューリスティック……好き嫌いといった感情が判断に強い影響を与える。
再認ヒューリスティック……知らない側より知っている側を選ぶ。

など、多くのヒューリスティックスが存在します。

行動経済学と経済学の関係

はじめに挙げたように行動経済学は、心理学的側面から経済学の問題点を指摘し
今後は新たな代替モデルを構築していくことが期待されています。

例えば、人々が何を選ぶかは、需要と供給に大きく関わりますし、
人々が損失を避けたがることは、人々の満足度(効用)を測るうえで避けられない観点です。

一方で、行動経済学は人々の行動を表す統一理論が作られていないことや、
個別の理論にもまだ不十分とする批判もあります。

行動経済学は1950年代から1960年代に始まったとされていて、まだまだ若い分野です。
経済学にとどまらず、企業活動や人工知能などの分野でも注目されており、今後の研究にも期待されています。

今回は行動経済学の基本的な部分を見返してみましたがいかがだったでしょうか。
次回は面白いバイアスの記事を予定しています。お楽しみに!

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