おとり効果とは
少しい悪い選択肢があると、ほかの選択肢が良く見えること。
おとり効果の具体例
次の選択肢は、実際にある雑誌を年間購読するためのプランです。
100人の学生に、自分ならどのプランにするかを選んでもらいました。
- Webサイトのみで購読〈59ドル〉
- 冊子のみで購読〈125ドル〉
- 冊子とWebのセット購読〈125ドル〉
間違いではありません。『冊子のみ』と『冊子+Web』の値段が同じです。
これではだれも『冊子のみ』は選びません。
『冊子+Web』の方がWebで購読できる分お得ですから。
実際に『冊子+Web』は84人にも選ばれ、『冊子のみ』は誰にも選ばれす、『Webのみ』は16人でした。
なぜ誰も選ばない『冊子のみ』の選択肢があったのでしょうか。
試しに、『冊子のみ』をなくして改めて実験しました。
- Webサイトのみで購読〈59ドル〉
- 冊子とWebのセット購読〈125ドル〉
すると今度は『冊子+Web』は32人にしか選ばれず、
『Webのみ』は68人と、選ぶ人の割合が逆転したのです。
『冊子のみ』のような選択肢を”おとり(囮:decoy)”と言います。
誰も選ばない『冊子のみ』があることによって、
高価な『冊子+Web』を選ぶ人が多くなっていたのです。
おとり効果の注意点
おとり効果はモテるためにも使えます。
自分よりモテなさそうな人と一緒にいることで、自分がより魅力的に見られるという手法です。
おとり効果の利用例として有名な方法ですが、同時に忠告もされています。
「おとりにされた人には、そのことを気づかれないように」と。
人の口に戸は立てられぬと言いますので、悪い使い方はしない方が良いでしょう。
おとり効果の応用
パン焼き機
世の中に初めて家庭用パン焼き機が発売されたとき、あまり売れませんでした。
人々の反応は
「便利かもしれないが、高いのか安いのかよくわからない」
「パンはお店で買えばいいじゃないか」
といったものだったのです。
窮地に立たされたパン焼き機メーカーは、何とハイグレード機を発売します。
ハイグレード機は通常のものに比べて、1.5倍も高いものでした。
驚くべきことに、ハイグレード機と通常パン焼き機が店に並ぶと、
これまでの通常パン焼き機の売り上げが伸びたのです。
ハイグレード機がおとりとなることで、人々には通常のパン焼き機が安く見えたのでした。
それにしても、商品が売れなかったときに更に高いものを発売するとは、すごい発想ですね。
おとり効果をはじめ、思考の錯覚を与えるもの=認知バイアスはたくさんあります。
それら全てに対策することは現実的ではありません。
認知バイアスは、ついうっかりを誘発することもありますが、
基本的には無くてはならない能力、直感的思考によるものだからです。
おとり効果につられてしまうようなところも、愛すべき人間らしさです。
うまく付き合っていきましょう。
また別の記事で他の認知バイアスも取り上げたいと思います。お楽しみに!