アンカリング 初めに作られる強い基準『忙しい人のための行動経済学』

アンカリングとは

初めに提示される価値は、強い価値基準となること。

アンカーとは元は船の錨(いかり)のことで、
船が錨を降ろすと、そこから遠くへ行けないことに由来します。

価値基準(アンカー)の場合も同様に、かけ離れた数字を想像しづらくなり、
アンカーに対して高い・安いを判断します。

アンカリングの具体例

  • 値引き前価格の提示
    【大幅値下げ】 2万3千円 ⇒ 2万円 と書かれると安く見えます。
  • 時間もアンカリング可能
    仕事の納期で、「あと5日かかります」と言っておいて
    3日で完成させると、頑張って早く完成させたと思われます。
  • 相場を暗示する
    ワインの競売ゲームで、前置きとして
    「このワインは100ドルより高いと思う?」と言った場合と、
    「このワインは10ドルより高いと思う?」と言った場合とでは
    明らかに100ドルを暗示した方が高く落札されました。
  • 例えばこのWebサイトの良さを伝えるなら

行動経済学は、アメリカでは主流な学問となりつつあり、
数百万円かかる大学に入って講義を受ける人も多くいます。
個人で学ぶ場合、数万円の講座を受けたり、数千円の本で勉強するのも良い方法です。
なお、このWebサイト”チエノキ”では無料で分かりやすい情報を提供しています。

アンカリングの注意点

アンカーは初めに基準となった価値が、最も強く影響します。
次々に別の価値を提示しても、一番初めに作られた基準の影響が残ります。

ある商品に対して、1万9千円のアンカーを持っている人に
【大幅値下げ】2万3千円 ⇒ 2万円 と書いても、高いと思われてしまいます。
(当たり前に思われるかもしれませんが、情報化された社会では重要なポイントです)

相場が分かりやすいものに、極端なアンカリングをするのはやめておきましょう。

とはいえ、必ずしも最安値を提示する必要はありません。
輸送料や手数料、手に入るまでの時間、何より購入の手間を含めて購入者は判断します。

アンカリングの最も効果的な使い方

アンカリングは、まだ価値が定まっていないものに対して最も効果を発揮します。

黒真珠の価値が見いだされたのは比較的最近で、1970年代に入ってからのことです。

真珠王サルバドール・アセールはクロチョウガイから採れる黒真珠の販売に着手しますが、
鉄砲の弾のような黒真珠は当初、全く売れませんでした。

そこで旧友の宝石商ハリー・ウィンストンに相談したところ、
法外な価格でニューヨーク五番街店のショーウィンドーに飾ってもらい、
グラビア広告では、ダイヤやルビーと並べて魅力的に宣伝されました。

こうして黒真珠は高価なものというアンカーが定着し、多くのセレブが欲しがるものとなったのです。

アンカリングの応用 アンカリングを打ち破るには

新しい物を世にを出そうという場合、これまでのアンカーとの戦いになります。

より良いものを作る場合、どうしても高価になりがちですが、
従来のアンカーと比較されると、単に高いという印象が強くなってしまいます。

従来品と比べられないようにするために、特に重要なことは
これまでの物とは全く別物であることを強調して売り出すことです。

定着していたアンカーを打ち破った最も良い例は、スターバックスコーヒーです。
当初のスターバックスのコーヒーは、他の大衆向けコーヒー店より100円以上高いものでした。

それでも人々に受け入れられたのは、高品質のコーヒーや、店の雰囲気づくりにこだわり、
入店時の印象を、他店と全く違うものにすることに成功したからです。
(あの難しい商品名も、直接比較されないことに一役買っていますね)

スターバックスコーヒー

これ以外にも他のバイアス(認知の誤り・錯覚)の力を借りる。
という方法もありますが、それはまた別の記事でご紹介します。お楽しみに。